考察:「機動戦士ガンダムSEED」ナタル・バジルールの絶望と選択
ナタル・バジルールは軍人としての誇りと責務からドミニオンの指揮を執っていた。戦争を終わらせたい一心で最前線で汚れ役に務めた。
だが全ては間違いであった。
多くの命を奪ってなお、ザフトの決戦兵器ジェネシスを前に連合の敗戦は決定的。上層部とそれを操るムルタ・アズラエルは私闘に走り、乗組員の生命は風前の灯。地球は滅亡寸前。
自分が信じていたものが何もかも間違いだったと彼女は悟った。
ナタルは戦線を放棄して乗組員に退艦を命じ、自らはアズラエルと共に死ぬ事を選んだ。
「貴方はここで死すべき人だ、私と共に」
彼女にはあの局面でアズラエルを拘束し、アークエンジェルと共闘してジェネシスの阻止に向かう、という選択肢もあるにはあったであろう。
しかしながら極限状況で絶望に押し潰された彼女にできる最大限の善意であり、罪滅ぼしがアノ選択であった。
視聴者から見れば間違いに見えてもナマの人間の感情ならそうするだろうという選択をキャラクターにさせる手法は土6 - 日5枠においてしばしば用いられていると感じる。