『ガンダムビルドダイバーズ』総括
開始当初に「前2作は《大会で優勝する》という大目標が冒頭で掲げられているの対し、今作は主人公(チーム)が何を目標とするかが見えづらい」という事を書いた。
それは最後までそのとおりだったと言えるし、「目標が見えづらい」ことこそがこの作品のミソだったように思える。
物語の前半「ブレイクデカール編(仮称)」は、ゲームバランスを崩し、ゲーム世界そのものを破壊しかねないアイテムを巡るストーリー。その黒幕であるツカサは前システム(バトルシステムに近似)への愛を貫いたがゆえに行動した。
後半の「モルダイバー編(仮称)」は攻守が逆転し、主人公チームが「サラと引き換えに世界を破壊しかねない行動をとる側」、ゲームマスターが「世界を守る側」となり対立した。
最終回を見終えて、ゲーム世界から離れた現実世界のキャラクターがあらわれたことにより、冒頭の疑問の答えが導かれた。
これは「勝利を手にするための物語」ではなく、「勝敗を超えて《世界》を存続させようとする、それ故の戦いの物語」だったのだ。
SNS社会、VR社会らしい、実に今日的なテーマの傑作であった。